今回は第15回の「3視の話」を踏まえ、視点の話をしたいと思います。
●視点を鋭くするには
皆さんは、初対面の人のどこを注視しますか?
ホテルスタッフのマニュアルには、「靴とか時計を見ろ」と良く書かれています。
ファッションの中で最も気を抜きやすいのが靴ですので、良い靴をはいていたり、しっかり手入れがされているものであれば、そのお客様は将来上位顧客になる可能性があるから、しっかり応対しましょうというわけです。
初対面の人を観察し、その人がどういう人物なのか、自分にとって敵か味方か、判断しなければならない場合、その人の顔全体を見ますか? 目ですか? 上半身でしょうか? 下半身でしょうか?
面接官で行動心理学を勉強している人であれば下半身、特に足の揺れをみます。
皆さん、心当たりありませんか? 面接の時は足元が見える机になっている場合が多いのではないでしょうか。これは足の動きに本音が出やすいからです。
人だけではなく、物事を観察するとき、対象物の何を見ますか?
例えば今多くの人類が苦しめられているコロナウィルスのケースであれば、感染者累計ですか? 新規感染者数ですか? 死亡率ですか? 入院者数ですか? 重症者数ですか? どの数値を重視するかによって、対策は大きく変わってくるかと思います。
●ユニークな視点の実例:顧客のトイレを見る役員
これはもう何十年も前の話ですが、出張で東北新幹線に乗っているとき、強面のおじさん(今の自分よりは若いと思うのですが・・・)が「君、いい目をしているね」といきなり話しかけてきました。
その方は、あるアパレルの役員をされていて、これから宇都宮の取引先候補と商談があるとのことでした。
彼は取引するかどうかを決めるときには、その取引先候補(百貨店)の従業員トイレを見るそうです。お客様の目に入らないところで気が抜けるところです。そこがしっかりしている百貨店に、自分たちの愛情をたっぷり注いだ商品を卸すんだとおっしゃられました。そういって彼は宇都宮で降りていきました。
その方とは後日東京で会食することになるのですが、衝撃的な出会いでした。
●自分なりの視点を持つ
社員の好調な時をみるか、どん底の状態でどれだけ踏ん張れるかをみるか、取引先の財務状況を見るか、社員の表情を見るか、結果を見るか、プロセスの行動量を見るか等々の視点が変わると結論が大きく変わります。
過去をふりかえってみて、あの会社はああだったとか、あの人はああだったという記憶を引っ張り出していただき、その時の視点と10年、20年後の姿(結果)がリンクしていたかを比較してみましょう。つまり、何と何の因果関係が強かったかの法則(相関関係)を見つけてみましょう。
そのような行動を積み重ねていくと、視点が研ぎ澄まされていくと考えます。
◆次回からは少しランダムになるかもしれませんが、経営者を育てる具体的な方法やトピックスを掲載していく予定です。
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