●結論
これから必要なのは、Eupsychian Management(ユーサイキアンマネジメント)に基づく人財育成
最近のロシアのウクライナ侵攻とそれに対する国際世界の動向やSDGs経営の浸透度合いを観察して得た結論は、VUCAつまり曖昧模糊不確実な時代の真っただ中であっても、ネットワーク全体の賞賛を得ないと、企業価値が低減していくということです。
今後の経営には、自社を取り巻くネットワークの中で企業価値を絶えず高めていく行動が求められるということです。そのネットワークにおける賞賛や承認が無くなると、売上などは一瞬に吹き飛んでしまうでしょう。これはコンプライアンスというマイナス面を無くすという事ではあまりにも不十分で、いかにその賞賛や承認に基づく価値を高めていくかということが肝要です。個人的には価値を定量化していくことが肝要かと考えております。
これからの企業はビジネスモデルの中核をなす価値を設定するにあたり、少なくともCSVに基づき構築する必要があり、かつSDGsの17の目標のうち1つにでもタッチしておく必要があります。
つまり、それらを考え、牽引する次世代経営者はそれらのトレンドを熟知する必要があり、常にそのフェアウェイに乗っている必要があります。
これらの事は小生が考えたことではなく、50年以上前に強く訴えた人物がいるのです。
アブラハム・ハロルド・マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908年4月1日 - 1970年6月8日)です。
今回はせっかくの機会ですので、有名なマズローの欲求5段階説のその先の話を展開したいと思います。
そのマズローの唱える概念をより分かりやすく理解いただくために、ある日本人の話を先にしたいと思います。石田三成です。
まずは彼の旗印をご覧ください。
「大一大万大吉」(だいいち・だいまん・だいきち)と読み、
その意味は「一人が万民のために、万民は一人のために尽くせば、天下の人々は幸福(吉)になれる」というもの。
これは先に述べたCSVに通じる概念です。CSVとは共有価値創造(creating shared value)のことです。経済的成長と社会的発展を結び付けた考え方であり、企業にとっての価値を生み出すとともに、社会にとっての価値も生み出そうとする概念です。
省エネや環境に配慮した製品、高齢社会に向けた製品が市場側で支持され、そうした製品を市場に送り出している企業は大きな成果を上げています。マイケル・ポーターによって主張されていた、企業の社会的責任(CSR)について企業価値引き上げのための投資として捉える戦略的CSRを発展させたものです。
■マズローの欲求5段階説
ここから先の展開が本筋です
この欲求5段階説は、マーケティングのニーズとウォンツを理解する上で今でも良く活用されています。ここまでは多くの方が認知しているのではないでしょうか。
マズローは「完全なる経営」という唯一の経営書の中で、自己実現欲求段階に到達したリーダー達が企業を牽引する世界=Eupsychian Management(ユーサイキアンマネジメント)を理想の経営としています。
■マズロー提唱の36の仮定
1)人間は信頼できるものだ
2)誰もが、できるだけ多くの事実や真実について、できるだけ完全な情報を得るべきである
3)自分の周囲にいるすべての人間が達成意欲を持っている。すべての人間がすぐれた熟練のわざを求めている。時間の浪費や非能率的なやり方には納得しない。良い結果を出そうとする
4)弱肉強食的、権威主義的意味での支配―被支配の関係は存在しない
5)すべての人間は、組織や職位階層のどこに位置していようとも、経営管理上の最終目標を共有し、その目標と一体化することができる
6)進歩的な経済では、組織の成員は互いに好意を抱いており、対抗心や嫉妬とは無縁である
6)シナジーもまたあるものだ
7)諸個人が十分に健康であるはずだ
8)具体的に何を意味するかはともかく、組織も充分に健康だと見なそう
9)(客観的に私心なく)賞賛する能力もあるはずだ
10)組織内の人間は安全欲求のレベルに固着していないと見なさなければならない
11)自己実現に向かう積極的傾向が存在すると見なそう
12)だれもがチームワーク、友情、グループ精神、一体感、所属意識、グループ愛を享受しうるはずだ
13)敵意は性格に起因するものではなく、主として何事かの反応として生じるものである
14)人間には耐える力があるものだ
15)進歩的な経営管理の下では人間は向上しうると見なす
16)だれもが、自分のことを取るに足らない、だれでも代わりができるような人間、特色のない役立たずで使い道のない人間、消耗品で尊敬されない人間と感じるよりも、重要で必要とされる有益な人間、成功者、誇れる存在、尊敬される人間であると感じたがっている
17)誰もが、上司のことを憎むよりは愛したいと考えている。ことによると、上司を愛したいという積極的な欲求さえもっている。また、誰もが上司を軽蔑するよりは尊敬したいと考えている
18)誰もが他人を恐れない状況を好むが、上司については、軽蔑するよりも恐れるほうがましだと考える
19)進歩的な経営管理の下ではだれもが受動的な助力者であるよりも、原動力でありたいと望むというように見なす
20)人間には、ものごとを向上させる、壁の絵が傾いているとまっすぐに直す、混乱しているものを整頓する、ものごとを正す、改善する、より良く成しとげようとする、といった傾向が見られる
21)歓喜と倦怠が成長をもたらすものだ
22)人間は、部品、物、器具、道具、「労力」としてではなく、全人格的に扱われることを好む
23)怠けるよりも働くことを好む
24)誰もが、無意味な仕事よりも意味のある仕事の方を好む
25) 人間は、(名もなく、他のだれでも代わりができるような存在であるよりも)個性的であること、独特な存在であること、自分自身であることを好む
26)進歩的な手順を生み出すためには、人間は成長に耐える勇気を持っていると見なさなければならない。
27)「サイコパスではない」とは何かを明確にする必要がある(良心を備える。恥辱、困惑、悲哀を感じる能力がある等)
28)人間には知恵があり、自己選択に効力があると見なさなければならない
29)誰もが、できれば公の場において、公正かつ公平に評価されることを望んでいるものだ
30)ここまで積極的傾向を述べてきたが、それにも関わらず防衛と成長という弁証法的対立は存在すると見なさなければならない
31)人間はほとんどの場合、他人に依存し受け身であるよりも、自ら責任を担うことの方を好むものだ。成長度の高い人間は、とりわけこの傾向が強い
32)一般に、人間は憎むことよりも愛することの方から、より多くの喜びを得る
33)相当高い発達段階にいる人間は、破壊よりも創造を好むものだ
34)相当高い発達段階にいる人間は、倦怠よりも関心を抱くことの方を好むものだ
35)進歩的な経営管理論を究極まで推し進めた最も高次な理論的段階では、世界とよりいっそう一体化しようとする志向、神秘主義への接近、世界との融合、至高体験、宇宙意識などを仮定しなければならなくなる
36)われわれはメタ動機(動機づけに特化したメタ認知)とメタ病理についても諸仮定を編み出していかなければならなくなる
究極はX理論かY理論か?
上記36の仮定で7割以上YESで運営できているならば、御社はY理論での運営ができており、マズローの提唱するEupsychlan Managementを現代に蘇えらせることができる可能性が高いといえます。
●X理論:人間は本来仕事が嫌いであり、仕事をさせるには命令・強制が必要である」という考え方です。 性悪説的な捉え方
●Y理論:仕事をするのは人間の本性であり、自分が設定した目標に対し積極的に行動する」という考え方です。性善説的な捉え方
これからしばらくは人財育成について話を展開していきますが、小生が目指す世界観は「大一大万大吉」「CSV」「Eupsycian Management」の世界観で、それらを牽引していくリーダー達を如何に育成していくかということを主眼にしております。
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