(1) 概念対自然を手軽に体験する方法
前回「自然の価値その1」で米子大瀑布を通じて、「概念対自然」(頭の中 vs 実体験)について話をさせていただきました。今回は「概念対自然」(頭の中 vs 実体験)を比較的簡単に味わっていただくことができる、キャンプについてお話します。
長野に拠点を移してから、一度行ってみたかった木曽エリア。丁度とても良いキャンプ場があることをYouTubeで知り、標高1,250mの木曽駒冷水公園に行ってきました。
キャンプは10年振りでしょうか。昔は神奈川県の道志川上流あたりにソロキャンプに良くいっていました。仕事でどうしても良いアイデアが浮かばなくなって煮詰まってしまった時や、熱帯夜が続いて体が涼を欲してきたときは迷わず山に向かっていました。
(2)キャンプで得られる事
~この超便利な文明社会において、あえて不便な環境に身を投じて日常の便利さ。ありがたさを実感することとなります。
以下、日常のありがたみを感じることができた事柄。勝手に小生のサバイバルの師匠としさせていただいているエド・スタフォード氏は「サバイバルに必要なものはWater(水) Fire(火) Food(食料) Shelter(雨風をしのぐもの)」と言っています。
まず、大事な4要素のうち火からトラブル発生です。
① 火がつかない事件(Fire&Food)
前日の雨の影響で、薪が湿っていました。それでも新しい焚火台を使いたい思いにとらわれた小生は、昔ながらの液体着火剤があるから大丈夫と変な自信をもっていました。
着火した!と思ったら、消えてしまうこと数回。1時間ほど挌闘しておりました。
すると見かねた隣のお兄さんが、「これ、よくつきますよ」と固形の着火剤を2つくれました。いやあ、本当にありがたかったです。あっという間に着火し、無事に食事にありつけました。
となりのお兄さんは命の恩人なので、翌日朝のコーヒーと、新しい着火剤を1袋、感謝の言葉とともに贈らせていただきました。
火が付けば、2大メリットを堪能できます。
・メリット1:1/f揺らぎで癒される
・メリット2:炭火の鶏肉が本当に美味。いろんな肉で実験しましたが、今のところ鶏肉が炭火との相性が良いという結論になっています。
② 水場が遠い事件(Water)
トイレはサイトから200mは離れています。朝尿意で目覚めると、地獄の始まりです。
何とか管理棟にたどり着いたら5人待ち。いわゆる男性小用のための便器が1つしかないからです。奥の2つの個室も使用中。絶望感が半端ないです。
朝一で5kmくらい走ったような疲労感です。さらにお風呂に入るには車で山を登る必要があります。数分ですが。
③夏でも寒くて眠れない事件(Shelter)
これは過去の失敗から今ではもう解決済ですが、山の上ですと夏でも夜には10度を下回ることがあります。さらに、テントとシュラフだけでは、土から冷気が全身を襲ってきて、歯の根がガタガタ言うくらい冷えます。ので、今回はアルミマットとエアマットの2段構えで快適に眠ることができました。
~自然環境の過酷さを克服するために、工夫する。トライアンドエラーを通じて成長をする。これ人生の醍醐味ではないでしょうか。日常の快適な生活の中ではそんなに失敗はしなくなっていますし、何かあっても保険で守られていますので、やはり脱日常生活にチャレンジしないと、失敗は経験できにくい世の中です。
④虫におそわれる事件
首都圏に住む人が車で長野に来ると、口々にフロントガラスに虫が大量に付く・・・とおっしゃいます。PAではトラック運転手の方々が一生懸命フロントガラスを拭いている姿を良く見かけます。ましてや山に入って、ランタン等をともせば大量の虫が襲ってきます。焚火をしていればその煙で多少は防御できるようですが、朝のんびりしていて、撤収が遅れると山中の虫が集中して襲ってきます。
昔、夏に白馬の川沿いでキャンプをしていた時、暑いからといって7分丈の生地の薄いカーゴパンツをはいていたら、ブヨに数十か所刺されたことがあります。
その反省から、渓流沿いでキャンプはしない。夏でもデニムを着るようにしています。
(3)トラブルではないけれども
星空を堪能することができます。プラネタリュウム。
有楽町に人気のプラネタリュウムがあります。プラネタリアTOKYO。入場料45分のプログラムで1,600円~。都会のど真ん中で、カクテルを飲みながら、最高の席でバーチャルとはいえ星を眺めるには、それ相応の価値があります。一方こちらは無料で天然大パノラマをあきるまで堪能できます。
たくさんの星を見ていると自分の存在の貴重さ、広大な宇宙の中の1つの小さな星の中のさらに小さな陸地の中で今を生きている事の奇跡を感じます。じっくり、しみじみと感慨にふける時間がたっぷりあります。
(4)実体験から、日常のありがたさに感謝
テントとタープを撤収し3日ぶりに自宅にもどると、スイッチひとつで明かりがともり、快適温度調整ができ、火が付き、蛇口を引けば水が出て、数歩でトイレには入れて、お風呂に入ることができます。そして数分で自炊であっても、ケータリングであってもいつでもおいしい料理を堪能することができます。恐ろしく便利です。
これが当たり前になってしまうと、(現代社会では当たり前ですが)どれだけ便利でありがたい日々をすごしているのかを感じる機会が減ってしまい、少しのトラブルでクレームを言ってしまったり、代替案を考えなくなってしまい、感謝の気持ちを失いがちです。
(4)より概念対自然を体験するために
さて、今後このような日常のありがたみをより強く体感するために、今年の冬の目標ができました。冬キャンプチャレンジです。冬は野球もシーズンオフ、ゴルフ場もクローズで、スキーはそこそこできるのですが骨折したら仕事に甚大な影響を及ぼすのでリスク回避のためやっていません。そんな小生の冬場に丁度良いチャレンジ目標ができました。
長野の標高1,000mは約マイナス10度。木曽の山に登ればマイナス20度の世界です。その中でストーブなしで無事生還できるかチャレンジしようと企んでいます。(乾燥した木炭、電気毛布、マイナス28度まで耐えられるシュラフ等は持参しますが・・・)。
最大の問題は水を凍らさない工夫とお酒を飲んで焚火をしながら寝落ちしないことかと思っております。無事に生きて下界に戻ってこれたら、その時のお話をさせていただく予定です。ただし、もう少し生きていたいので、秋から徐々にレベルを上げて万全の準備はしていきます。
●追記:木曽駒冷水公園のビジネスモデル
まだ本格的なキャンプシーズン前にもかかわらず、土日は場所取り争奪戦が繰り広げられます。敷地内に入れなかった車が順番待ちをしており、カップルが場内を回って、「今日撤収しますか?」と全員に声をかけたりと、大変な状況です。
このキャンプ場は無料なのです。水は駒ケ岳の雪解け水が豊富に流れており、清潔なトイレとお風呂(車で移動する必要あり)があり、申し分ない素敵なキャンプ場です。寄付とボランティアで運営しているそうですが、売店やお風呂に、井口社長の会社のシャンプーリンス、ボディソープが置いてあり、宣伝効果はばっちりです。ちなみに「幾重」(いくえ)というシリーズです。キャンプ場にお邪魔するまでは申し訳ないですが認知していませんでた。
このように、キャンプした人は、感謝の印にお買い上げになるでしょうし、薪や木炭、アイスやビール等の売店売上も相当になるでしょうから、すぐにペイするビジネスモデルではないでしょうか。今後遊休耕作地やスキー場跡地などで同様なビジネスモデルが増えてくるのではと思います。
宣伝広告費として考えるならば、ペイするモデルだと考えます。
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