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第38回 サバイバルの法則 その3

津田識義
(1)サバイバル法則5:
  Use what’s around you~周りのものを活用せよ~

●必要最低限のものが揃ったら、落ち着いて食料探しにとりかかれます。

 道具作りもその1つ。周りの物をフル活用する時です。

●工夫次第で道具は出来ます。

●周りの物を活用できれば生きる自信が湧いてきます。

●1つ1つの積み重ねが大事です。

●しかるべき所を探せば、必ず良い発見があります。

 それは単なる偶然ではなく、環境になじんできた証でもあります。



★キャンプでの実体験

 先日、だいぶ朝晩の気温が下がってきたので氷点下の雪中キャンプに備えて、防寒グッズの実験がしたくて標高1,000mの山に行ってきました。


 いつも何かしら忘れ物をしてしまいます。今回の忘れ物はパーコレーター(コーヒーを沸かすためのヤカンとサイフォン機能を兼備したもの)でした。しょっちゅう豆を挽くのは面倒ですし、冷え切った目覚めには少しでも早くあたたかいコーヒーを飲みたいので、今回はコーヒーの粉が入ったパックのものをスーパーで購入。これで完璧だ!と思っていたのですが、現地に着いてからパーコレーターの忘れ物に気づきました。普段自宅でもお湯を沸かす時にヤカン代わりに使用しているため、ガス台の上に置き忘れてきてしまいました。


 一瞬頭は真っ白。自宅に戻るか、下界のホームセンターにヤカンでも買いに行くかと思ったのですが、一度落ち着いて深呼吸したあと周囲の森を見回してみました。竹があれば鋸、ナイフ、斧は標準装備なので、注ぎ口の尖ったヤカンの代替品が作れるのですが、残念ながら竹は1本も生えていなかったので、改めて持ってきた道具を眺めてみました。


 お湯を沸かせる道具が2つあります。飯盒とメスティンです。飯盒ではお湯を上手くコーヒーパックに注ぐことは難しそう。メスティンならば角に若干Rはあるものの、何とかなりそう。早速テント類の設営が終了後やってみました。結果は大成功。少しだけコツはいりますが、無事においしいコーヒーを飲むことができました。今回はメスティンのおかげで事なきを得ました。


 これは小生のどうでもよい小さな小さな話ですが、これと類似する話は経営の世界にもあるのではと考え、次に記述してみたいと思います。



★例えばスキー場経営への展開

 スキー場経営に関しては、危惧していることが1つあります。

 2030年氷河期が到来(詳細は第17回ブログ参照ください)するのか、それとも温暖化が進むのかという問題です。自然相手の商売なので、どちらかに振れると大問題になります。もし氷河期になるならば、雪がたっぷり降って、11月~5月まで半年程度営業可能になり、一見良さそうでですが、そんな冷え切った中でウィンタースポーツに興じる人はどれだけいるのかという心配があります。


 そしてアクセスです。

 除雪車を広域で24時間フル稼働させなければなりません。除雪は定住者も大変です。逆にもしも温暖化が加速すれば、ウィンターシーズンの営業期間が今もりも短くなり、ほとんどがグリーンシーズンとなります。自然園・植物園を目玉にしてグリーンシーズンの梃入れはしてきましたが、それだけでは今後温暖化がさらに加速した場合にはウィンターシーズンの減少をカバーするには不足します。何か身近に活用できるもので目玉になるものはないでしょうか。首都圏にくらべれば、〝涼“は大きな武器になります。とはいえ木曽駒であっても真夏は相当暑いです。


 標高1,500m以上の平坦な場所に巨大な氷室を作ってって涼しいワークプレイス(例えばクーラーのいらないドームハウス、コンテナハウス群)を作ってみるとか、平地では育てられなくなった作物を作るとかどうでしょうか。冬の間に積もった雪を貯蔵し、村ごと冷やすとかの価値を高めるという方向性は標高の高い雪国にしかできない温暖化・地球沸騰化の環境下では相当価値が高くなり、人を呼び寄せる起爆剤になるのではかいかと考えます。


 また、索道にしても除雪にしても雪の貯蔵にしても相当なエネルギーが必要になってきます。ただ、スキー場ならば豊富な水と斜面及び地熱と風があるはずです。太陽光は氷河期ならあまり望めないので、比較的安定した水力・地熱・風力発電を活用してゼロエミッションを目指すのはどうでしょうか。当然1社だけでは過剰な設備投資になってしまいますので、過疎化対策の一環として行政を巻き込んで村ごとゼロエミッションを目指せば世界の先進事例となり、村の価値ごと上がり人を吸引できるのではと考えます。国内首都圏はもちろんインドやタイの熱帯地方から、もしくはSDG‘sに関心の高い先進国からも若い家族ごとやってくる確率が上がるのではないでしょうか。

 村内まるごと電気代タダという前例が岐阜県のとある地区にあったかと思います。




(2)サバイバル法則6:
  ●Expand your horizons~視野を広げよ~

●新たな資源を探す段階では、臨機応変の周囲のものを活用することが重要です。

●探索はサバイバルに不可欠です。

●環境に慣れると行き来する場所が固定しがちです。

●新しい場所を探索すれば、意外な発見があるかもしれません。



★例えばバス会社の人手不足

 周囲のものを活用するという点では、法則5と共通の所が多いですが法則6では、新しい場所を探索するということがキーワードになります。


 今、特に地方の路線では運転手不足によりどんどん減便や廃止が進行しています。その傾向はもう10年以上前から言われていて、取り組みの早い会社では免許をもっていない新卒を採用し、大型2種を取得するまで、会社が面倒を見るというところが既に存在していました。


 これもスキー場の対策と同様に1社単独では厳しいと想定できますので、地域が違っても人材不足という悩みが一緒の数社と手を組んで共同の人材養成所(免許取得センター)を作って、業界の課題を解決するのはどうでしょう。業界とはいってもタクシー会社・物流企業も同様の課題を抱えていますので、業界を超えてアライアンスを組んでみるのは1社でもんもんと悩み、規模を縮小するしか手がない状態よりは希望が持てるのではないかと考えますし、希望のある事業計画ならば資金もついてくると考えます。



◆サバイバルの法則その4に続く

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