(1)SAKUMAで錯乱!?
先日、赤いキャンディー缶で有名な佐久間製菓さんが、今年12月で製造停止、来年1月20日で自主廃業をすると発表がありました。
理由はコロナによる売上減とインフレによる原価高騰との事です。
これは転売ヤーも巻き込んだサクマ式ドロップスの獲得競争が始まると思い、あわてて楽天市場にアクセス。無事に買えたと思ってほっとしたのは束の間で、何となく違和感を覚えました。そこで、冷静に購入履歴で確認してみると、購入したのは緑の缶だったのです。「ん?よく小学生の頃食べていたものと違うぞ」と思い、よくよく製造元を確認すると、サクマ製菓とあります。
検索して調べてみるとこちらのサクマ製菓は今後も営業をされる方でした。
慌てて楽天で再検索したところ、無事に赤い缶の佐久間製菓製のサクマ式ドロップスを購入することができました。
案の定11月12日現在、ヤフオクでは最高値で即決価格5,000円/1缶で出ているものがあります。
間違えがないように改めて整理しますと、

(2)佐久間とサクマの沿革
佐久間製菓は1908年に佐久間惣次郎商店として創業。1913年に缶入りドロップスを発売開始、1944年企業整備令により廃業、1948年横倉氏により再興。メイン工場は八王子にあります。本社は池袋です。
ここまで調べて小生は悩みました。生い立ちを同じくし、主力製品もほぼ同一のものを製造・販売し、一方は廃業を決意するまで追い込まれ、一方は営業継続。この差はどこから来たのか。この疑問を解消しないと夜も眠れないと思い、まずは財務情報を探ってみました。
(3)佐久間とサクマの財務
(両社とも非上場のため情報をかき集めてみました。公開できる範囲になります。)
① 佐久間製菓
・売上:R2年からR3年にかけて約30%もダウンしています。
・純利益:マイナス幅が50%アップで R3.9月期 ▲1.5億円
・社員数 30名 業界内順位 98位/561社
② サクマ製菓
・売上:R3年からR4年にかけて約6%ダウン。
業界全体の低下傾向からすると持ちこたえていると思われます。
・純利益:R3.3月期で500万円から1,000万円の間のレンジで利益を出しておりますが、R4.3月期 は不明です。しかしながら売上減が微減であったことからすると大幅な赤字はさけられたのではないかと推察します。
・社員数 81名 業界内順位 42位/561社
佐久間製菓は、ここ1年で赤字幅が5,000万円も増えており、このままのペースで利益減が進むと蓄積の6億が数年で消えてしまう。その前に廃業を決断されたように見受けられます。
一方サクマ製菓は、売上2億円の減にとどまり、利益も不明ではありますが、然程の急減にはなっていなかったのではと推察します。
(4)サクマにあって佐久間にないもの
次に上記財務の結果は何によってもたらされたのかを缶入りドロップ以外での商品ラインアップを確認してみました。
① 佐久間製菓
のどあめ各種、アサイードロップス、乳酸菌ドロップス、東京のはちみつキャンディー、東京のブルーベリーキャンディ、キャンロップ、大袋キャンディー等
多種多様のキャンディーを販売されていたのですね。
小生が注目したのが、外部とのコラボレーションがあったのは唯一赤缶の“火垂るの墓”レトロ缶復刻バージョンのみというところです。
② サクマ製菓
「れもんこりっと」 - レモン味のクランチキャンディ。
「炎天夏塩飴」 - ハワイ産の黒い塩が使われており、塩味が強い。期間限定発売。
「春空のど飴」「夏空のど飴」「秋空のど飴」「冬空のど飴」 - シーズンごとに発売しているのど飴。
「太田胃散のど飴」 株式会社太田胃散との共同開発によるのど飴。
「ポンジュースキャンデー」 株式会社えひめ飲料との共同開発による飴。
「珈琲所 コメダ珈琲店キャンディー」 株式会社コメダホールディングスとの共同開発によるコーヒー飴。
ちなみに、小生が一番驚いたのが、緑の缶に好きな画像を印刷できるサービスを(株)ジェミニウムさんと共同で展開していることです。この着眼点はなかなか素晴らしいと思います。真っ先に思い浮かべるのが七五三のお祝い。かわいいお子さんの写真を印刷したいですよね。あとは新郎新婦の笑顔を載せて結婚式の引き出物とか、誕生日祝いとか。オンリーワンの味が出せます。
(5)結論
両社とも、機能性であったり、季節性であったり、コンビニに陳列しやすいように缶から袋に変えてみたり、時代の変化に敏感に対応してきたように伺えますが、1つだけ決定的な差があります。それはビジネスモデルの違いです。
勢いに乗っている他業種の知名度の極めて高い強力な企業とのパートナー関係、共同開発。これは、以前に書かせていただいたカツカレーと同じかと思います。
せっかくですので次回以降ビネスモデルについて詳細記述させていただきます。
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