第49回 格差社会のその先は?
- 津田識義

- 11月9日
- 読了時間: 6分
1)格差社会の本格到来を肌身で感じる
前回は、餃子から格差社会の現状を紐解いていきました。
今回は、その流れを踏襲し、各社社会の状況をいったんわかりやすく整理し、今後どうなるかを予想してみます。(そうゆうみかたもあるのかと軽く流していただけると幸甚です)
最近スーパーで買い物していて、各メーカーが消費者・国民の2極化を意識してか、高品質で高価格の商品とそれなりの品質で、安めの価格設定をしてきていることを如実に実感します。
たとえば、カゴメさんのトマトジュースです。
今年「日本のトマト」という30本(1本紙パック入りで195g飲みきりサイズ)1ケ月分30本で定価¥7,776にて発売開始しています。国産の厳選された良質のトマトを絞ったものでとても濃厚でおいしいですし、何よりも健康で安全を売りにしています。
一方、通常スーパーで販売しているペットボトル入り(800ml前後)ですと価格は230円前後です。1ケ月分ですと毎朝コップ1杯飲んで1週間で2~3本消費します。1ヶ月で10本前後ですから約2300円。世界各国の輸入トマト(1部国産あり)を濃縮還元しており、こちらも普通においしく、さらりとしています。価格差でみると3倍以上の開きがあります。かつレッドオーシャンです。
徹底しているのはスーパーで販売している通常品のものと日本のトマトではマーケティングミックス(過去のブログ参照ください)のターゲットをアッパーマス以上に絞っている点です。プロモーションは彼らがあまり視聴しないテレビで流さずネットに限定し、プレースはスーパーに置かずに倉庫から直送です。プロダクトとプライスは上記の通りはっきりターゲットニーズに合わせてきています。
朝食と言えば、パスコさんの超熟を良く食べます。ある日自宅に戻ってみると5枚切りが300円超とレシートに書いてあり、びっくりしたことがあります(通常品は180円ちょっとです。レジの間違いか?いやいやバーコード読み取りだから間違いようがないよなと思ってパッケージをよく見てみると純国産小麦使用と書いてあり、デザインも違っていました。小生が間違って籠に入れてしまったようです。以前流行った高級食パンに値段が近づいてきました。どこ産であろうと小麦に違いはないのでバカ舌の私には然程違いがわからず、今でも通常品を食しております。
もっとも最近の例では、昔から贔屓にしている横浜中華街の金香楼というお店です。
店内に水路が張り巡らせており、ガゼボタイプの席でとても落ち着き、味も良く、壺料理が名物です。
先日小学校からの同級生と会食したのですが、メニューにフレンチ中華(ヌーベルシノワ)というコースが加わり、単価が相当高くなっております。通常メニューでもそこそこなのに、さらに高額のラインを選べるようになっておりました。(いつか宝くじが当たったらチャレンジするかもしれません)
かように、各メーカー・各店が世の中の格差社会の進展に伴ってターゲットをマス層とアッパーマス(一部マス層上位)に設定してラインを分けてきています。
2)格差社会の実情
(1)一般的な格差ピラミッド
アメリカほどではないが、少ない人口が多大な資産を保有している構図は同じ。そして年々格差が広がてきています。

(2)早稲田大学の別の切り口
非正規以下の構成が大きい。

(3)年代別格差(再掲)
0も含めて、100万以下が人口の半分、一方1000万以上が30%。つまりその間の中間層が極めて薄くなってしまった。

(4)格差は広がり続ける
r>gという経済法則があります。投資リターンが常に歴史上上回ってきたという事実から導き出された公式です。このインフレ時代では現金でもっていただけでは10ではありますが、投資したものが確実に資産を増やし続けるトレンドに入ったという事です。
複利でシンプルな計算方法に72の法則なりものがあって、利率で割ると倍になる年数が出るというものです。このブログを書いている朝、ある投資信託は13%をだしていました。仮にわかりやすく10%としても倍になるには7年ですむということです。投資しなければ30%減です。つまり格差はどんどん広がるトレンドに突入しております。良い悪いではなく事実としてです。
3)格差社会が行きつく先(近未来)
●コンパクトシティじゃないと生き残れない自治体
都市の将来を考えるに、ミニバンコク化するものと考えています。
コンパクトシティといわれて久しいですが、最近食パンやトマトジュースと同じように、車で走っていると、白線が消えているところがふえてきたと実感します。県庁の近く、新幹線駅の近くにもかかわらずです。
地元民であればまだレーンが消えていても大丈夫かと思いますが、都市部からこられた方が戸惑うでしょう。横浜から来た友人は、怖くて運転できないと言っています。
また、各地で水道管が破裂し、地方路線のバスが廃止され、熊がでまくっています。毎日携帯にクマ出没のニュースが飛んできます。
まず、少子化ですから、税収が普通に減ります。そうなると公共工事の原資がなくなるので、今まで通りのインフラの維持は物理的に不可能です。
すなると、都市部とそれ以外に分けて集中と選択という打ち手がもっともわかりやすく議会を通過しやすいでしょう。イメージとしては進撃の巨人の壁に守られた世界観。壁の外は怖くてでれない状態。おそらく耕作地としてドローンやロボットが出かけることになるのではと。
まだそこまでにはなっていませんが、タイで生活していた時にはそれに近い概念を感じていました。王族を筆頭とした富裕層が住むバンコク中心部(赤シャツ派が多いです。全人口の1割)と、そうではない人が居住する郊外(黄シャツ派。全人口の9割)に経済的にも物理的にも政治的にも分断されております。地方から出稼ぎに都市部に働きに来る若者が圧倒的に多いのです。
タイは日本と違って相続税がないので、この格差が永久的に続くのです。ちなみに外国人は一戸建て・土地の購入はできません。コンドミニアム(日本でいうマンション)大抵プール付きは購入可能です。
●シンプルに考えてDS曲線でシミュレーション
ショッピングモールは大枠、相当工夫しないとバブル崩壊後の清里高原に近い状態になるのでは考えています。
中間層がまだ元気で分厚かった時代のビジネスモデルだからです。(ちなみにバンコクのプロンポン駅のショッピングモールではロールスロイスがランボルギーニが館内で売っていて、関税で3倍近くになったランボルギーニはソールドアウトになっていました)
前回記述した通り、中間層が消えている中では、今の規模は維持できないのではと思っております。なぜならアッパーマスは全人口の20%もいないですし、日本のトマトのように汎用品にはあまり興味がないからです。
ですから、ここしばらくの経営の対策としてはシンプルに自社のターゲットをしっから定め(2本立て、3本立てはあり)て、ニーズをしっかり洞察し、需要予測し、ビジネスモデルを検証する必要がありそうです。

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