~「3つの時」を読む~
今朝、ベランダにでて四阿山(あずまやさん)を眺めていました。山頂近辺に積もっていた雪解けが進み、岩肌がみえてきました。ここからでは遠すぎてわかりませんが、おそらく近くに行くと木々の蕾は膨らみ、来るべき時に向けて着々と芽吹く準備をしているのかな?毎日毎日四阿山はそこにあり、何も変わっていないようでも、次の季節に向けて着々と準備をはじめているのだなあと感慨にふけっておりました。
話題は変わりますが、赤壁(レッドクリフ)でお馴染みの諸葛亮孔明。私もあこがれる三国志時代の卓越なる軍司です。赤壁の戦いでは、劣勢の状況を一気に変える“時”を読み勝利をもたらしました。風を読み、その時に備えて敵の弓矢を偽装船団で奪い、風向きが変わったところで一気に攻めに転じました。その1点に全資源を集中し、形勢を逆転できる“時”はいつなのか。その判断力が卓越したものだったわけです。
本題に入ります。タイトルにあります3つの時とは「攻め時、守り時、変わり時」のことと定義します。
●攻め時
過去~現在、実施してきていた戦略で、このまま突き進めると判断した時、今まで以上にパワーを集中し、全力で攻め込みます。製品の独自価値による他社優位性なのか、コスト優位に基づく価格優位性なのか、それとも圧倒的シェアを生かしたポジション優位性なのか、いずれにせよ他社との競争優位なポイントに着目し、そこに資源を投入し、他社を駆逐していきます。
●守り時
近い将来潮目が変われば、きっと従来の戦略でも通用し、再度軌道に乗ると見極め、あえて今は耐え忍び、何もしないという判断です。嵐の中でじっと家の中に閉じこもり、何もしない=何もできないという状態です。誤解の無いように付記いたしますが、この守り時の判断が功を奏した事例も多々あります。判断が適切であれば、守りが攻めに勝つ場合があります。
●変わり時
四阿山や諸葛亮孔明の頭脳の中のように、遠くから見ていてはよくわからないのですが、着々と次の攻め時にむけて変化を起こしていくことです。例えば、新しいビジネスモデルを考案したり、特許を取得すべく研究開発に邁進したりします。ポイントはいつ攻め時に移るかの判断です。
その昔のバブル期に波に乗り、バブル崩壊とともに消えていった企業が多く存在します。どんなに卓越した戦略を有しようとも、それを発動する“時”を間違えては何の役に立たないばかりか、かえって自身の立場を窮地に陥れてしまいます。
「経営=判断する仕事」とするならば、「この判断=“時”を読む力を養うこと」が最大のポイントと考えます。
いずれも、お話しようと考えている人財育成の章で、この“時”に攻め・守り・変化、それぞれ得意な人財を当てはめると上手くいく傾向にあるのですが、多くの企業において、せっかく保有している人財をこのタイプ別でマネジメントしている企業が少ないのです。
ヒントだけを先に出しておきますと、人事考課データだけではこの分類は不可能ということです。
ちなみにですが、この3つの“時”で現在の国内の状況を俯瞰してみますと、以下のような論点になります。
コロナ禍における日本政府は、守り時「もう打つ手がない」という判断のように見えます。国民の多くは、アフターコロナを見据え、変わり時を期待しているので、そのギャップで国内にストレスや失望感が広がっているように見受けられます。
御社は今、なに“時”に該当するでしょうか?
◆次回は、この3つの“時”を読むための基本フレームである9BOX Analysisについて話を展開してみます。
Comments